2018 年 12 巻 2 号 p. 68-82
少子高齢化・長寿化というわが国に到来している未曾有の社会現象に対峙するためには、新たな視座からのソーシャル・イノベーションが要求される。これまでの「モノ」を対象とした競争によるイノベーションのみではなく、「コト」の価値や関係性から形成される協創によるイノベーションを視野に入れる必要性がある。本研究では、P2Mの価値創造プロセスを「まなざし」の視座から接近する。その際に3Sモデル(スキームモデル、システムモデル、サービスモデル)を技術経営の新潮流(社会構成主義)から理論を整理する。次に、「技術決定論」と「技術と社会のダイナミックな相互作用を重視する理論」との根本的な相違を把握し、ソーシャル・イノベーションの可能性を社会的表象理論から提示する。さらに、現在取り組んでいる「留学生のまなざし」から留学生約180名を対象にアンケート調査を実施して、その実証的知見をもとにシナリオの実現性を検証する。最後に、産官学連携よる地域活性化活動を、P2M知識体系を適用して整理・分析し、P2Mプログラムマネジメントの有効性を議論する。