2017 年 66 巻 4 号 p. 387-394
ミレニアム開発目標(MDGs; Millennium Development Goals)から持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)へと移行し,感染症対策へのウェイトは相対的に減少しつつも,感染症との戦いは今なお国際社会の課題である.国際保健規則(2005)に基づくコア・キャパシティ形成の取組みは,感染症を含む健康への脅威に対するセキュリティ(ヘルス・セキュリティ)を強化するにあたって,国際社会の重要な政策課題である.しかし,自己評価によるモニタリング下では,その世界的な進捗は芳しいものではなかった.世界保健機関(WHO; World Health Organization)は,コア・キャパシティ開発を促進するため,2016年に新たに「合同外部評価(JEE; Joint External Evaluation)」と呼ばれる外部評価を取り入れ,新たなモニタリングと評価の枠組みを導入した.透明かつ協働的なこのプロセスは,ヘルス・セキュリティのための中長期的な政策計画と開発に,様々な部門や関係者を結び付けていくことが期待される.