1995 年 45 巻 p. 9-19
Arbuscular菌根菌の宿主親和性と,菌株間競争に及ぼす宿主植物の種類の影響について,arbuscular菌根菌3種(Glomus etunicatum(Ge), G. mosseae(Gm)およびGigaspora sp. Cl(Cl))とマリーゴールド,ダイズおよびアスパラガスの各品種を用いて検討した。それぞれの宿主に各菌株を単独で接種し,菌根菌接種による生長促進の程度や,菌根菌の増殖量(感染率および胞子形成数)などから,各菌株と宿主間の親和性を評価した。宿主の生長促進という観点からは,どの植物もGeおよびGmとの親和性が高く,Clとの親和性が低かった。一方,菌根菌の増殖という観点からは,各菌株にとっての好適な宿主は,菌株間で異なっていた。前記3菌株の胞子を混合してそれぞれの宿主に接種し,栽培終了後の各菌株の胞子数から,それぞれの宿主根圏における優占種を調べた。マリーゴールドは特定の菌株を選択せずに,各菌株を同程度に増殖させたのに対し,ダイズおよびアスパラガスは,Geを選択的に増殖させた。