森林利用学会誌
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速報
林道台帳の集計による林道施設災害復旧事業費の実態解明
渡部 優斎藤 仁志戸田 堅一朗白澤 紘明植木 達人
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2022 年 37 巻 3 号 論文ID: 37.155

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抄録

長野県の民有林林道を対象に林道台帳を集計することで,林道施設災害復旧事業費の実態解明を行った。 その結果,次のことが明らかとなった。集計路線(n=1504)の約36% では,林道施設災害が発生していなかった。1 被災箇所あたりの復旧費の標準偏差は2602.4 万円と大きくばらつくとともに,年代クラスにより分布形態が異なった。各年の総復旧費の内訳をみると,全被害額の5 割が路線数にして1 割強の被災路線に起因した。復旧単価(円/年・m)の平均値は222 円/年・m,中央値は55 円/年・m,標準偏差は436 円/m・年であった。単位時間・単位長さあたり復旧費は,集計路線の約59% で100 円/年・m以下,約95% で1000円/年・m以下であり,右裾が重い安定分布に類似していた。開設後経過年数と復旧単価の間に明瞭な比例関係は認められなかった。規格別の復旧単価の中央値は,1 級林道が185 円/年・m,2 級林道が71 円/年・m,3 級林道が37 円/年・m であり, 1,3 級および2,3 級の間に1% 水準で有意差が確認された。既往手法を用いて算出した復旧単価の推計値と実績値の残差標準偏差は464 円/年・m であった。

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