2022 年 61 巻 1 号 p. 2-6
現在,機械安全の枠組みで,人間と機械の可動部が直接接触する際の安全データとして,人間の痛覚水準および軽度傷害水準の耐性値を規定し技術報告ISO/ TR 21260 にまとめつつある.これを背景として,今度はその試験方法を国際標準とすべく,「皮膚傷害耐性の計測方法に関する国際標準化」の事業を展開してきた.本稿では,まず皮膚傷害耐性の標準化の必要性および,本事業に参画する研究開発機関それぞれの役割および相互の関係について述べる.つぎに,本事業で開発する試験方法のターゲットである皮膚傷害耐性水準の安全データおよびそれらの単位について紹介する.さらに,これらの傷害耐性に基づく安全検証実験の方法について説明を行い,実験結果および考察を示した.そして最後に,皮膚傷害耐性の計測方法として提案すべき試験方法の規定を行い,戦略的な標準化の道筋に言及する.