日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌
Online ISSN : 2189-7085
Print ISSN : 1882-0123
症例
医療用弾性ストッキングに含まれる2-n-octyl-4-isothiazolin-3-one (OIT) による接触皮膚炎の1例
竹原 友貴庄田 裕紀子河上 強志
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2017 年 11 巻 4 号 p. 326-332

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抄録

 65歳男性。下肢静脈瘤に対して弾性ストッキングを5年間着用し, 下腿に境界明瞭な紅斑を生じた。弾性ストッキングによるパッチテストが陽性を呈し, 成分分析と成分パッチテストの結果, 2-n-octyl-4-isothiazolin-3-one (OIT) による接触皮膚炎と診断した。OITは, イソチアゾリノン系防腐剤であり, 海外では塗料, 接着剤, 木製製品, 皮革の防腐剤として使用され, 職業性接触皮膚炎の発生が散見されるが, わが国での報告は少ない。医療用弾性ストッキングは下肢の静脈血, リンパ液の還流促進を目的とした医療機器であるが, 今回, OITは防臭目的で使用されていた。弾性ストッキングは長期間, 肌に直接触れ, かつ, 着用者にはうっ滞性皮膚炎の合併率が高いことから, 感作されやすい。イソチアゾリノン系防腐剤の弾性ストッキングや衣類への使用には注意が必要と考え報告する。

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© 2017 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
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