石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
各種シリカ存在下でのn-ブタンの酸化分解反応
涌井 顕一佐藤 浩一澤田 悟郎塩沢 光治又野 孝一鈴木 邦夫早川 孝村田 和久葭村 雄二水上 富士夫
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 43 巻 4 号 p. 286-295

詳細
抄録

触媒を用いた酸化分解反応との比較のため, n-ブタンの無触媒酸化分解反応における各種シリカの充てん効果を600~700°Cで検討した。反応は種々のシリカを充てんした固定床流通式反応器にn-ブタン, 酸素および窒素を流通させることによって行った。空の石英反応管では気相での均一ラジカル分解反応が顕著に起こり, 最も高い転化率が得られた。石英管に石英砂などのシリカを充てんした場合では, いずれも空の管よりも転化率は低下したが, 石英砂またはシリカライト等の結晶性シリカを充てんした場合と, 無定形シリカを充てんした場合とで転化率に大きな差がみられた。石英砂またはシリカライトでは転化率が非常に低下したのに対し, 無定形シリカでは空の反応管に近い転化率が得られた。無定形シリカ上の水酸基が酸化分解反応におけるラジカル連鎖に関与している可能性が考えられた。シリカ種充てんの酸化分解における主生成物はエチレン, プロピレンおよびブテン等の軽質オレフィンであり, オレフィン選択率は他の酸化物を充てんした場合よりも高い値が得られた (反応温度700°C, 転化率45%で選択率約75%)。

著者関連情報
© 公益社団法人石油学会
前の記事 次の記事
feedback
Top