日本作物学会紀事
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栽培
2004年台風15号の特徴と山形県における潮風害の実態
藤井 弘志小田 九二夫柴田 康志森 静香今川 彰教安藤 豊
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2006 年 75 巻 4 号 p. 459-464

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抄録

2004年の台風15号に伴い東北地方の日本海側で発生した潮風害の発生要因を台風の特徴から総合的に解析して, 今後の東北地域の日本海側における潮風害発生に対する資料とするとともに, 台風の特徴から潮風害の発生を予測する手順についても考察する. 台風の特徴からみた潮風害の発生要因としては, (1)南西風で風速が強く(15 ms-1以上), 風速10 ms-1以上の継続時間が長いこと(5時間以上)によって, 飛散した海塩粒子が平野の内陸部まで運搬されたこと, (2)高い波が海岸線に打ち寄せられ波しぶきが上がったこと, (3)降雨が少ないことによって, 農作物に付着した塩分が洗い流されなかったこと, (4)水稲の生育時期が潮風害の被害を受けやすい時期であったことが相互に重なりあって潮風害の被害地域および被害程度の拡大につながったと考えられる. 市町村によって収量的には大きな差が認められ, 北部地域または海岸に近い地帯ほど減収割合が高かった. 北部地域で南部地域に比べて収量が低下した一つの要因としては, 南部地域に比べて北部地域で風が強く, 海塩粒子が内陸部まで運搬されたことが考えられた.

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© 2006 日本作物学会
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