主に日本とアメリカから取り寄せたトウモロコシ自殖系統について,種子の冠水抵抗性と幼植物における耐湿性の検定条件を検討すると共に,それらの系統変異を調査した.種子を25℃で8日間浸漬させた後の発芽率で評価した種子の冠水抵抗性には,供試した46系統で明瞭な系統間差異が認められた.幼植物を2週間にわたって湛水処理を行い,地上部乾物重の対照区比で評価した幼植物の耐湿性は,供試した223系統において幅広い連続変異を示し,いくつかの耐湿性の強い系統が見出された.両形質の反復間の相関係数は,冠水抵抗性で0.415,耐湿性で0.464といずれも5%水準で有意であり,再現性が認められた.トウモロコシの種子の冠水抵抗性と幼植物の耐湿性は有意ではなく,両者は異なるメカニズムによるものと見られた.