2019 年 34 巻 1 号 p. 21-25
〔目的〕様々な高位で吸気時の胸郭拡張制限を行い,制限の有無による胸郭運動の変容を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕健常男性19名を対象とした.胸郭の上位,中位,下位の高さに反射マーカーを貼付し,立位で吸気時の胸郭運動を分析した.胸郭拡張制限は,胸郭の肩甲骨下角直下,第12胸椎棘突起の高さ,およびその両方で行い,制限なしも含めた4条件で吸気時の反射マーカー間距離の変化量を比較した.〔結果〕肩甲骨下角直下の胸郭拡張制限では胸郭の上位と中位で,第12胸椎棘突起の胸郭拡張制限では胸郭の中位と下位で運動が制限された.〔結語〕部分的な胸郭拡張制限が生じた場合,その近接の部位の胸郭運動は影響を受けるが,遠隔の部位への影響は小さいことが示された.