理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
症例研究
ポリオ後遺症を合併した脳卒中片麻痺患者の歩行能力の改善がみられた一症例
―運動療法と短下肢装具の工夫―
安彦 鉄平島村 亮太安彦 陽子相馬 正之小川 大輔神谷 晃央岩田 一郎新藤 恵一郎
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キーワード: ポリオ後遺症, 脳卒中, 歩行
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2011 年 26 巻 1 号 p. 163-167

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抄録

〔目的〕ポリオ後遺症による下肢障害を合併した脳卒中片麻痺患者に対し,運動療法と装具療法により歩行能力が改善した一症例について報告する。〔対象〕脳梗塞を発症し,ポリオ後遺症による下肢障害と同側に片麻痺が生じた67歳の男性とした。入院時の歩行レベルは屋内歩行見守りであり,かつ反張膝と外反膝が著明なため二次的障害を予防する必要があった。〔治療方法と経過〕運動療法では,腹筋群と大殿筋を中心に約2ヶ月半エクササイズを実施した。さらに工夫を加えた靴べら式プラスチック短下肢装具を作成した。装具の特徴は,踵部の高さが調節可能,初期内転角・内側アーチ・内側ウェッジ,メタタルサルバーと足底部のウレタンフォーム,固定性の強力な足関節ベルトとした。〔結果〕退院時,T字杖で屋外歩行自立となった。退院後,歩行練習を中心に運動を継続した結果,退院3ヶ月後には身体機能,歩行能力はさらに向上した。〔結語〕ポリオ後遺症であることを考慮し,病前の歩容を生かし,二次的な障害を予防する運動療法と装具療法を行った結果,屋外歩行自立となった。

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© 2011 by the Society of Physical Therapy Science
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