理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
研究論文
高齢者における浴槽入浴中の心・血管反応
浅川 康吉高橋 龍太郎遠藤 文雄
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2006 年 21 巻 4 号 p. 433-436

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抄録

本研究の目的は,高齢者の浴槽入浴中の心・血管反応のうち入浴中急死事故のリスクとなりうる反応を探ることである。対象は,高齢男性42例(75.5±7.6歳)とし,湯温41℃から42℃,5分間の浴槽入浴における収縮期血圧,拡張期血圧,脈拍,ダブルプロダクト,脈圧および平均血圧のデータを得た。各項目の変動パターンと年代との関係を二元配置分散分析により分析したところ,年代との交互作用を認めた項目は脈拍のみであった(p<0.05)。60歳代と70歳代の高齢者では浴槽入浴中に脈拍が増加するのに対し,80歳代では増加しなかった。80歳代の高齢者では,浴槽入浴の際に必要な脈拍の増加反応が十分でない可能性がある。脈拍の増加反応は入浴中急死事故のリスクとして注目すべき現象と考えられる。

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© 2006 by the Society of Physical Therapy Science
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