초록

本稿は、小野小町の「いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣を返してぞ着る」(古今 恋二 554)歌に詠み込まれている「衣返し」という歌ことばに着目し、その歌い方の変遷の有り様を探ってみたものである。 「衣返し」とは、上代恋愛生活において、現実に逢えない恋人のことを恋い慕うあまり、せめて夢の中ででも逢えることを切に願う心から寝るときに行った行為である。俗信に頼るしかなく、夢の中での逢瀬に期待をかける一途な気持の現れである「衣返し」詠は、古今集以後、後撰集(1例)․後拾遺集(3例)․金葉集(1例)․千載集(3例)․新古今集(1例)などの類歌をみせる。勅撰集以外にも、小野小町とよく比較される和泉式部集や斎宮女御集、順集、元真集、重之集、山家集などの私家集にも詠み込まれており、歌語としての面目を見せている。 さて、この「衣返し」の元をたずねると、万葉集の「袖返し」からの変容であることが分かる。しかし、「袖返し」という行為がどういう経緯を経て小町歌にみえるような「衣返し」へ、つまり「袖」から「衣」へと変わり、次第に呪術性の強い「衣返し」の歌が詠まれなくなったかについてはその所以が判然としない。ただ、それは万葉の呪術的浪漫的情調から次第に古今の悲哀的な情調へ、愛の否定的理智的傾向への移り変わりがこのような詠法の変容をもたらせたと推定できよう。 万葉の現実的で積極的な感動性は失われ、消極的で悲哀的感情を歌う古今調へと変わり、「袖返し」のような呪術的な歌句は見えなくなり、袖と関わりのある「涙の雨の袖」や「身を知る雨」、そして「寝る」と「濡る」などといった様々な歌語や縁語との取り合わせの新しい詠法、すなわち成就できない悲恋を表わすような詠法になるのである。そしてまた、これは恋愛が現実の体験から離れて、作者の心中に、一般に心情化された過程の一例と見なせよう。

키워드

袖返し(Sodekaesi), 小野小町(Ononokomachi), 万葉集(Manyousyu), 八代集(Hachidaisyu), 衣返し(Koromokaesi)

참고문헌(14)open

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