2016 年 70 巻 2 号 p. 65-81
京都府南部を流れる木津川で5 年間に3 度の大増水が発生した.高水敷に設置された野球グラウンドが冠水し,多様なベッドフォームが形成された.冠水によってつくられたベッドフォームは,野球グラウンドの上流側から下流側に向かって,舌状型デューン,平行型デューン,三日月型デューン,舌状型リップルと平行型リップルなどが順に配列していた.特定のベッドフォームが発達しない場合もあるが,この配列順は一定不変であることがわかった.異なる種類のベッドフォーム間の重なり具合や分布の特徴などから,冠水時に水位の上昇に伴って,下流側に分布するベッドフォームから上流側に分布する ベッドフォームへと順に形成されていったことがわかった.またマイクロデルタのように減水過程で形成されたベッドフォームも存在することも明らかになった.さらにグラウンド面のわずかな傾きが冠水深や堆積物供給等に影響し,標高の少し高い野球グラウンドの南部では,デューンが発達せず平行型リップルや舌状型リップルが発達することも分かった.