日本教育工学会論文誌
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ブレンディッドラーニング環境におけるeラーニングシステムの利用の効果に関する研究 : 学習者の動機づけと自己制御学習方略に着目して(<特集>学力向上を目指したICT活用のデザイン・実践・効果)
北澤 武永井 正洋上野 淳
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2008 年 32 巻 3 号 p. 305-314

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抄録

本研究では,ブレンディッドラーニング環境におけるeラーニングシステムの利用が,学習者の動機づけと自己制御学習方略にどのような効果を与えるか分析した.具体的に,まず,大学一年次前期必修の情報科目を対象にブレンディッドラーニングの実践を行い,eラーニングシステムの利用調査を行った.その結果,学習者の55.2%がeラーニングシステムを授業の予習もしくは復習として利用しており,それを授業時間外に利用しなかった学習者よりも,「eラーニングシステムのおかげで知識や能力が身に付いた」と認識していることが明らかになった.さらに,動機づけと自己制御学習方略の関係について,質問紙(PINTRICH and DE GROOT 1990)を用いて分析した結果,eラーニングシステムを授業の予習もしくは復習として利用した学習者は,授業に対する本質的価値や,「課題に取り組む時,繰り返し教材などを確認する」といった自己制御学習方略が高いことが明らかになった.加えて,学習者のeラーニングシステムの効果に関する認識と授業に対する本質的価値,必要がなくても最後まで課題を解くなどの学習に対する姿勢について,共分散構造分析を用いて因果関係を分析した.結果,eラーニングシステムの効果と授業に対する本質的価値,本質的価値と学習に対する姿勢の間に因果関係が認められた.

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© 2008 日本教育工学会
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