心身医学
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症例研究
“心因性” を疑われたが, 後に明らかな身体的異常が発見され, 心身医学的治療を行った2症例
浦川 彩子水野 泰行阿部 哲也福永 幹彦
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2016 年 56 巻 4 号 p. 369-377

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抄録

心身症は心理社会的因子が注目されるあまり, 身体的異常が軽視される場合がある. “心因性” と疑われた患者に, 後に明らかな身体的異常が発見された, 摂食障害の要素をもつ2症例を経験したので報告する. 症例1 : 40代, 女性. 精神科通院歴, 減量目的での胃バンディング手術歴があった. ストレスがあった時期に嘔吐, 背部痛などが出現したため, 心因性を疑われた. 上部消化管ビデオ透視検査にて胃バンドのスリッピングによる通過障害を認め, 手術を受け軽快した. 症例2 : 60代女性. 胃癌手術歴あり. 頻回の下痢で体重減少をきたした. 原因不明のため心因性を疑われた. 消化管輸送能検査で結腸の広範囲に強い攣縮を認め, 下痢はロートエキスにて改善した. 既往歴や症状の訴え, 受療行動, 心理社会的因子の影響などが身体的異常を発見しにくくする要因と考えられる.

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© 2016 一般社団法人 日本心身医学会
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