心身医学
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大災害のストレスと心身医学 : 仙台・宮城からの速報(東日本大震災支援プログラム,2011年,第52回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))
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2012 年 52 巻 5 号 p. 388-395

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抄録

震災後ストレス外来受診患者の身体疾患は,機能性消化管障害と摂食障害が14.3%,緊張型頭痛・片頭痛・腰痛も14.3%,高血圧4.8%,過換気症候群3.2%,その他(肺炎,脱毛,振戦,慢性疲労,月経困難,など)12.7%であった.精神疾患診断名は,全般性不安障害とパニック障害が27.0%,外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder:PTSD)が12.7%,うつ病性障害が25.4%,睡眠障害が4.8%,アルコール乱用3.2%,精神病3.2%,その他の精神障害が6.3%であった.震災を契機に生じた身体疾患と精神疾患には弱い関連性があり,疾患の出現頻度は女性が男性よりも多かった.また,一次病名に付記されていた不眠の有無でも有意であり,疾患の出現頻度が不眠があるもので多く,不眠がないものでは少なかった.系統的かつ大数にて分析すればストレス関連性の健康障害の検出率,臨床的意義はさらに明らかになると考えられる.心身医学の必要性のさらなる分析とそれに対する時宜を得た対処が今後重要である.

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© 2012 一般社団法人 日本心身医学会
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