2013 年 40 巻 3 号 p. 169-175
【目的】本研究の目的は,橈骨遠位端骨折後症例についてダーツスロー・モーション(DTM)面ROMとDASHスコアの関係を検討することである。【方法】対象は橈骨遠位端骨折後症例18名とした。身体機能は患側の掌背屈,橈尺屈,回内外,DTM面ROMと握力の患健比を評価した。DTM面ROMの計測は開発したゴニオメーターを使用した。ADL能力は上肢の運動器疾患に用いるDASHスコアにて評価した。DASHスコアと各ROM,握力との相関を調査した。【結果】DASHスコアとDTM面ROM(r=-0.681, p=0.002),握力の患健比(r=-0.488, p=0.040)で有意な相関が得られ,その他には有意な相関は得られなかった。【結論】橈骨遠位端骨折後症例でのADL能力の回復には,DTM面ROMと握力との関連性があきらかにされた。またDTM面ROMは,橈骨遠位端骨折後のADLの回復に重要な役割を果たしていたことから,ADLの中でよく使われる運動であり,重要な運動方向であるということが示唆された。