理学療法学
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平成25年度研究助成報告書
急性心不全患者に対する早期理学療法の安全性と効果に関する多施設共同研究
神谷 健太郎齋藤 洋米澤 隆介濱崎 伸明田中 伸弥遠藤 佳子松沢 良太若梅 一樹野崎 康平前川 恵美松永 篤彦増田 卓
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2016 年 43 巻 2 号 p. 146-147

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抄録

本研究は,心不全の急性増悪によって入院した症例に対する急性期の集中的な運動療法の効果を多施設で検証することを主目的としている。本中間報告では,介入試験におけるプライマリーエンドポイントを決定することを目的とし,急性心不全患者の運動機能の特徴をヒストグラムで,急性期の運動療法介入に対する運動機能指標の反応性を標準化反応平均(SRM)で評価した。対象は急性心不全で入院した患者180名(年齢69 ± 13歳)で,入院後7日以内と退院時に運動機能評価を施行した。運動機能は,足関節背屈可動域,片脚立位時間,short physical performance battery(以下,SPPB),10 m 快適歩行速度を評価した。これらの指標の中でもっとも反応性が大きかったのは10 m 快適歩行速度であり,SPPB は中程度の反応性を示した。バランス機能指標やSPPB においては,高齢者であっても初期評価の時点で天井効果を示す症例が多く認められた。これらの結果をもとに介入試験のプライマリーエンドポイントを設定し,平成26年度には多施設前向き介入試験を施行する予定である。

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© 2016 公益社団法人 日本理学療法士協会
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