1989 年 38 巻 10 号 p. 1150-1156
琵琶湖産ユスリカの主要種はアカムシユスリカとオオユスリカである.琵琶湖の南岸, 守山市にて無作為的に選択した各年齢層の気管支喘息患者にユスリカ抽出液による皮膚反応, RASTをおこない, その結果を他の地方における報告と比較し琵琶湖の影響を検討した.セスジユスリカ成虫抽出液によるスクラッチテストでは129名中35名(27%)に陽性で, 陽性患者はすべて室内塵にも陽性であった.アカムシユスリカによるRASTでは64名中16名(25%), セスジユスリカでは12名(19%)が陽性であった.セスジユスリカによる皮膚テストでは20〜39歳の層でもっとも陽性率が高かった.アカムシユスリカに対するRASTの陽性率は東京都, 富山市, 岡山市での成績に比し有意の差はなく, 琵琶湖の影響が特に大きいという結論は得られなかった.