日本皮膚科学会雑誌
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原著
乾癬に対するPUVA-bath療法―本邦における至適照射方法の確立
小林 桂子森田 明理
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2005 年 115 巻 6 号 p. 871-877

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抄録

今回我々は,本邦での乾癬に対するPUVA-bath療法を確立するために,本邦および英国ガイドラインを参考に,照射プロトコールの最適化を試みた.のべ100例(83人)の難治性乾癬患者を対象とし,後ろ向き観察研究(retrospective observational study)として解析を行った.照射方法は増量幅,照射頻度を変更した3つのプロトコールを用いた.いずれのプロトコールでも初期照射量は0.2 J/cm2,最大照射量4.0 J/cm2とした.プロトコール1は,増量幅0.3 J/cm2に固定し週4回照射.プロトコール2・3は増量幅を0.3~0.7 J/cm2と徐々に上げ,プロトコール2では週4回,プロトコール3では週5回照射した.いずれのプロトコールでも,寛解率は約90%で,関連性の明らかな重篤な副作用はなかった.寛解期間はプロトコール1・2で4.0~6.6カ月だった.寛解に至るまでの在院日数はプロトコール3が他に比べて有意に短く36.5日であった.プロトコール3の照射回数も20回で最少であり,その差はプロトコール1と比べて有意であった.また有意差はないものの総照射量も56.4 J/cm2で最少であった.併用されているビタミンD3外用薬の効果を比較したところ,カルシポトリオール軟膏とマキサカルシトール軟膏は寛解率,在院日数,照射回数などにおいて同等の結果を示した.プロトコール3を導入することによって,本邦において安全性が高く,効果の高い標準的なPUVA-bath療法を行うことが可能になると考えられる.

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