抄録
近年、Th1やTh2とは異なる炎症惹起性のヘルパーT細胞サブセットとして、IL-17産生CD4+T細胞(Th17)が注目されている。CIAやEAEなどの自己免疫性疾患動物モデルにおいてTh17の関与が示唆されているが、ヒトRAにおけるTh17の病原性についてはいまだ明らかにされていない。本研究ではCD4+CD45RO+細胞中の細胞内サイトカインをFACSで解析し、IFN-g、IL-4 、IL-17陽性細胞を、それぞれTh1、Th2、Th17サブセットとし、RAと正常コントロール間で比較した。末梢血単核球(PBMC)ではTh1の比率は正常(14例)とRA患者(33例)間で差はなかった。しかしTh2とTh17の比率は、RA患者で有意に減少していた。さらにRA滑液(17例)におけるTh17比率も、正常PBMCに比べ減少していた。反対に、RA滑液におけるTh1比率は、正常PBMCに比べ有意に増加していた。RA患者PBMC中のTh17細胞の比率は、CRPの程度やMTX/PSLの投与量と相関関係は認められなかった。以上の結果から、ヒトRAにおいてTh17細胞サブセットの有意な上昇を認めず、その病原的役割の確立について、さらなる検討が必要であると考えられた。