日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-94S
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In silicoによるラットの薬物代謝酵素阻害活性の予測
*東野 竜空中森 瑞季安部 賀央里頭金 正博佐々木 崇光吉成 浩一
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抄録

【背景・目的】化学物質による肝毒性等の発現に、薬物代謝酵素の反応性が関与していることが知られている。そこで、化学物質によるラットの薬物代謝酵素のIn vitroでの阻害活性を化学構造情報から機械学習を用いて予測するIn silico手法を開発することを目的とした。

【方法】Hazard Evaluation Support System Integrated Platform(HESS)のラット反復投与毒性試験データベースに搭載されている化学物質リストの中から入手可能な218物質を選択し、被験物質とした。薬物代謝酵素として6種類のラットシトクロムP450(rCYP1A1、1A2、2B1、2C6、2D1、3A2)、およびラットグルクロン酸転移酵素(rUGT)を対象として、各被験物質による阻害活性値が15%以上の場合、被験物質が反応性を有すると判定し、15%未満の場合、反応性を有しないと判定した。化学構造情報としてMordredにより計算された分子記述子を使用し、ランダムフォレスト(RF)を用いて反応性の有無を判別する分類モデルを構築した。外部検証においては、信頼性の高い予測結果が得られる化学物質の範囲を示す適用領域を設定した。

【結果・考察】薬物代謝酵素の各モデルにおいて適用領域内の外部検証物質の予測結果として、ROC-AUCは0.8以上を示した。本研究の成果から、機械学習により薬物代謝酵素のIn vitro阻害活性をIn silicoで予測する高効率・高性能かつ信頼性の高い分類モデルの構築が可能であることが示唆された。なお、本研究は経済産業省「機能性材料の社会実装を支える高速・高効率な安全性評価技術の開発・毒性関連ビッグデータを用いた人工知能による次世代型安全性予測手法の開発」の支援により実施された。

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© 2020 日本毒性学会
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