日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-186
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酸化ストレス性ミトコンドリア機能障害に対するジメルミ酸の影響
今泉 直樹*上原 安紀子中尾 浩史
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抄録

【目的】我々はこれまでに, 紅麹菌より単離された抗酸化物質ジメルミ酸(DMA)が酸化ストレス性肝障害を減弱させることを報告した。この肝障害軽減メカニズムはミトコンドリア膜透過性遷移現象(MPT)が関係することが示唆されたため, 今回, ミトコンドリア機能とミトコンドリア由来の活性酸素種に対するDMAの影響について検討を行った。
【方法】雄性SDラットより常法にて調製した肝ミトコンドリアにperoxynitrite(PON)やカルシウム等の各種MPT誘導剤を作用させ, ミトコンドリア膨化反応(swelling)及び活性酸素産生量を評価した。次に酸化ストレス性肝障害とミトコンドリア機能を評価するため, アセトアミノフェン(APAP)を用い, 絶食雄性ICRマウスをcontrol, APAP(300 mg/kg), DMA(15 mg/kg)+APAP, DMA群の4群に分け, 肝ミトコンドリア機能, 血清パラメーター, 活性酸素産生量を測定した。その際, DMAはAPAP投与の1, 15時間前にそれぞれ腹腔内投与を行った。また, 肝細胞を用いてAPAPによるミトコンドリア由来の酸化ストレスや細胞死に対するDMAの影響を確認した。
【結果および考察】DMAはPONにより誘導されるswellingを抑制し、ミトコンドリア由来のヒドロキシルラジカルを消去した。APAP肝障害モデルマウスでは, DMA + APAP群はAPAP群に比べ, 肝障害マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼを軽減させ, カルシウムの負荷によるswellingを有意に抑制した。また, APAP群ではミトコンドリアで活性酸素の発生が見られたがDMA+APAP群ではほとんどみられなかった。また, 肝細胞にAPAPを作用させるとミトコンドリア活性酸素インジケーターの上昇に加え, 細胞死が誘導され, DMAはこれらを抑制した。以上のことからDMAはミトコンドリア由来の活性酸素種を消去することで肝障害保護作用を示すと考えられた。

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