縞状鉄鉱層中のクロムのホスト鉱物はクロムスピネルであるがその起源は明らかになっていない。本研究では縞状鉄鉱層の初期沈殿物を模した鉄、クロム水酸化物を合成しフロースルー型実験装置を用いて二価鉄を含む150℃の熱水と1週間反応させた。生成物の固体分析の結果から主生成物がゲーサイトでありさらにスピネル鉱物が生成していることがわかった。さらにSEM分析ではスピネル様の結晶が観察でき、TEM分析からスピネル鉱物と同様の面間隔の値を持つクロムを含むスピネル様の粒子の凝集体が観察されたことからクロムスピネルが熱水実験により合成されたことが明らかになった。