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冥王代(>4.0 Ga)にマントルと地殻がどのように分化していたか、そして地殻がどのような組成であったかを知ることは、地殻の抽出とリサイクルによるマントル化学組成進化の初めの様相を理解する上で必要不可欠である。我々は、先行研究の高マントルポテンシャル温度におけるマントル対流モデル(Foley et al. 2014)を参考に冥王代の火成活動様式を推定し、冥王代に形成される地殻の主成分元素組成を高圧融解実験によって決定した。結論として、冥王代にはまず未分化マントルカンラン岩の融解からFeとTi、アルカリ元素に富んだコマチアイト質地殻が形成された。そして沈み込みに伴うこのコマチアイト質地殻の含水融解によって、Tiとアルカリ元素に富んだ玄武岩質-ピクライト質地殻が形成されていたと考えられる。