高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分の安全性を評価するためには、地下深部における放射性核種の挙動を予測することが重要となる。しかし、HLWに含まれるマイナーアクチニド(MA)は一般に天然環境に含まれないことや、地層処分で対象とする時間スケールが極めて長いために、その予測が困難となっている。本研究では、高レベル放射性廃棄物に含まれるマイナーアクチニドのアナログ元素となる希土類元素(REE)とU、Thについて、空間的な分布や地質学的な時間スケールでの挙動を把握することを目的として実施した。本研究では、北海道幌延地域で採取された深層ボーリング岩石コアの主要元素、REE、UおよびThの主な変動要因を推定するために、各元素の濃度データを主成分分析により解析した。その結果、幌延地域の堆積岩の化学組成を決定し、特にREEについては、そのパターンが各試料においてほぼ同一パターンを示すため、堆積時以降の長期に渡り大規模な移動や濃集が生じていないと考えられた。