白亜紀-第三紀(K-T)境界(6550万年前)はイリジウムなど隕石由来物質を含む粘土層で特徴付けられている。この粘土層のイリジウム濃度は不均質であるが、その濃度は銀濃度と非常に高い相関を持っていた。このことは銀がイリジウム同様に隕石衝突直後に堆積物に取り込まれたことを意味している。SPring-8における放射光X線マイクロビームを用いた蛍光X線マッピングにより、銀を含む粒子を見出し、それがAg2Sであることが分かった。このような銀を含む硫化鉱物から得られる情報をもとに、隕石衝突直後の環境変動を読み解くことができる。