Li同位体ツールを用いて,ガスハイドレートに関与する流体の生成温度(深度)を推定する事を試みた。試料は日本海直江津沖で採取されたものを用いた。その結果,分析試料のLi同位体比は海水と深部流体の2成分混合で説明できる事が明らかとなった。その際に,推定される深部流体端成分のδ7Li値は約+7‰であった。ここでガスハイドレート試料に含まれる泥のLi同位体比が本地域の堆積物相の値を反映していると仮定した場合,δ7Li値が+7‰の深部流体を作り出すためには約150℃程度が必要となる。この温度は日本海の地温勾配では,海底下1400~1900mに相当する。