日本地球化学会年会要旨集
2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
セッションID: 3C04 19-04
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水圏環境地球化学
沖縄島南部地域における地下水の地球化学的特性
*飯野 倫裕渡久山 久美渡久山 章佐竹 洋
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キーワード: 地下水, 石灰岩, 泥灰岩, 沖縄島
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抄録

沖縄島南部地域の地質は,島尻層泥灰岩とそれを不整合に覆う琉球石灰岩から構成されており,この両地域には多数の湧水及び井戸水が存在する。本研究では,沖縄島南部地域において島尻層泥灰岩及び琉球石灰岩地域の地下水を継続的に採集分析し,これらの地下水の化学的特徴を明らかにすることを目的とした。沖縄島の地下水は海塩の寄与が大きい。そこで,各地下水のClを全て海塩起源とし,地下水中の化学成分について非海塩起源成分(nss-)を求め,これを基に以下の考察を行った。その結果,両地域の主要陰イオンであるnss-HCO3は,石灰岩地域(4.53 meq/L)と泥灰岩地域(4.92 meq/L)では,それほど大きな差は見られなかった。しかしながら,主要陽イオンであるnss-Ca及びnss-Naの平均値は,石灰岩地域(5.56,0.277 meq/L)と泥灰岩地域(3.81,1.47 meq/L)では,それぞれ異なる値を示した。採集地点によっては,nss-Ca及びnss-Mgは,nss-SO4やNO3によってカルサイトが溶解することで供給されており,また泥灰岩中のNaを含む長石が黄鉄鉱の酸化によって生じる硫酸との反応によって風化を受けて,地下水中へNaが溶出したと考えられた。

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© 2008 日本地球化学会
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