大陸にみられる火山岩に含まれるかんらん岩ゼノリスの化学組成などの地球化学データおよび同位体データは,その地域の大陸下のリソスフェアマントルの進化に関して重要な制約条件を与える。中国東北部Hannuobaの第四紀火山岩中には変質の少ないかんらん岩ゼノリスが見られる。本研究では,このかんらん岩ゼノリスからかんらん石,単斜輝石,スピネルなどを分離し,全岩試料とともにそれぞれのRe,Os濃度とOs同位体比を分析し,単斜輝石のSm,Nd濃度とNd同位体比を測定した。その結果,母岩である玄武岩より遙かに古い1.9GaというRe-Os年代と,1.9Gaではchondriticな初生Os同位体比が得られた。また,cpxの数試料は1.9GaのSm-Nd reference lineに乗った。これらの結果は,1.9Gaまでchondriticに進化してきたマントルが1.9Gaに対流マントルから隔離されると同時にメルトの抽出が起き,その後母岩の玄武岩の噴出まで隔離されていたことを示唆する。