原生代から顕生代にかけて、生物相が、単細胞生物から多細胞生物へと変化したことが知られ、当時の地球表層環境を知ることは、生命進化の解明につながる。堆積岩には、堆積当時の地球表層環境の特徴が化学組成や同位体比という形で記録されている。特に堆積岩中の有機分子組成及び分子別炭素同位体比は、当時の炭素循環の情報を記録している。原生代の堆積岩中の炭化水素組成及び分子別炭素同位体比から、当時の水柱の炭素循環は顕生代と異なる可能性が指摘された。しかし、原生代の堆積岩中有機分子の分子別炭素同位体比分析の報告例は少なく、当時の炭素循環について断片的にしか解明されていない。本発表では、未だ報告例のない南中国に産する原生代/顕生代境界層堆積岩中の有機分子組成及び分子別炭素同位体比の分析結果について報告する。