日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

ジャスモン酸誘導性タバコMATE型トランスポーターNt-C215のクローニングと機能解析
*士反 伸和伊藤 慎悟南 翔太伊藤 梢森田 匡彦澤田 啓介Goossens AlainInze Dirk守安 正恭森山 芳則矢崎 一史
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0247

詳細
抄録

【目的】
植物は多様な二次代謝産物を生産し、外敵への防御応答として用いている。タバコのニコチンアルカロイドは虫害等によりジャスモン酸シグナルを介して根特異的に生合成され、続いて導管輸送により緑葉へ転流・蓄積することが知られる。演者らはこの転流に関わるトランスポーターの探索を行い、葉の液胞への輸送に関わるMATE型トランスポーターNt-JAT1を同定、報告してきた1)。しかし、ニコチンの転流機構の全容は未だ不明な点が多い。本研究では、Nt-JAT1と同時にクローニングされ、ニコチントランスポーターと目されるNt-C215について発現特性と機能解析を行った。
【方法、結果及び考察】
Nt-C215は全長約1.8 kb、507アミノ酸をコードしており、Nt-JAT1同様MATE型トランスポーターに属していた。本遺伝子はノザン解析により、植物体内ではニコチン生産を誘導するジャスモン酸処理下においてのみ発現し、またその発現は葉特異的であることが判明した。酵母を用いた細胞輸送を検討した結果、Nt-C215発現酵母におけるニコチン含量は有意にコントロールよりも低く、葉におけるニコチン輸送に関わることが示唆された。現在、形質転換植物を作成してNt-C215の生理機能を解析している。
1) Morita, Shitan et al. (2009) PNAS 106: 2447-2452.

著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top