日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ花茎の負の重力応答に関与する新規遺伝子の単離と機能解析
*佐々木 秋佐藤 敦子綿引 雅昭山本 興太朗
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p. 0197

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抄録

シロイヌナズナ花茎の重力屈性に関しては変異体解析により多くの関連因子が単離されているが、胚軸及び花茎で内皮アミロプラストの沈降方向を感受する分子や重力感受以降のシグナル伝達に関しての詳細は不明である。MSG2/IAA19はオーキシン応答に関わる転写抑制因子である。IAA19の発現調節因子を単離する目的で、IAA19promoter::NLS-GFPと IAA19promoter::GUSを保持する形質転換シロイヌナズナをEMS処理し、その次世代集団をスクリーニングして、GFPシグナルが減少する突然変異体A78を得た。IAA19の発現低下は、定量的PCR法によっても確認されたが、そのオーキシン応答性は保たれていた。A78は花茎が垂直上方に成長できず、既知の負の重力応答変異体eal1(Fujihira et al. 2000)と類似した表現型を示したが、eal1で観察された内皮アミロプラストの形成不全はA78では起こっていなかった。ポジショナルクローニング法、及びT-DNA挿入変異体との相補性試験により、A78の表現型は機能未知の新規遺伝子AT5G14090上のナンセンス変異により生じたことが判明した。また、この遺伝子に一つ存在するパラログAT3G27025のT-DNA挿入変異体は葉柄が捩れる表現型異常を示した。

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© 2010 日本植物生理学会
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