日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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低分子量GTP結合タンパク質OsRac1とNBS-LRRタンパク質の相互作用
*河野 洋治中島 綾子高橋 弘喜川崎 努島本 功
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p. 0074

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抄録

植物の抵抗性遺伝子産物(以下、Rタンパク質)は、病原体を認識する細胞内レセプターとして働くことが知られている。多くのRタンパク質は、ヌクレオチド結合部位(NBS)とロイシンリッチリピート(LRR)をもつNBS-LRR型Rタンパク質に属している。現在、Rタンパク質がどのような複合体を形成し、下流のシグナル伝達系を制御しているかはほとんど明らかになっていない。我々はこれまでに植物免疫の分子スイッチである低分子量GTP結合タンパク質OsRac1がイネのRタンパク質を介した抵抗性反応において重要な役割を果たしていることを明らかにしている。最近、OsRac1相互作用分子の探索を行ったところ、NBS-LRR構造をもつRタンパク質様のタンパク質を複数同定した 本研究では、OsRac1に結合した5種類のNBS-LRRタンパク質をOrin1-5と名付け解析を行った。Orin1は、直接、活性型のOsRac1にNBSドメインを介して結合した。Orin1をタバコの葉で過剰発現すると、細胞死などを伴う過敏感反応と呼ばれる強い特異的な抵抗性反応が観察された。Orin1とドミナントネガティブ体のOsRac1を共発現すると、Orin1により誘導される過敏感反応が抑制された。以上の結果から、OsRac1は、NBS-LRR型Rタンパク質の下流で、植物の抵抗性反応に重要な役割を果たしていることが示唆された。

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© 2008 日本植物生理学会
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