日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネにおける低リン感知機構の解析
*西山 友和崎 淳信濃 卓郎伊藤 進大崎 満
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p. 0034

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抄録

低リン適応に関わる分子応答制御には、全身的な制御を司る長距離シグナル伝達機構と、リンの充足状態を局所的に感知する機構があると考えられている。低リンに素早く応答するイネ由来の遺伝子OsPI1がこれら2つの機構にどのように制御されているかを明らかにするために、本研究を行った。低リン条件(-P)及びリン充分条件(+P)で水耕栽培したイネの根を半分に分け、片側を-P(-P根)、もう片側を+P(+P根)の培養液に浸す根分け処理を行った。-Pから根分けしたものは12時間~5日間、+Pから根分けしたものは2時間~5日間まで経時的に採取した。これらの試料について、qRT-PCRでOsPI1の発現量を測定した。+Pから根分けした場合、1日目以降で+P根に比べて-P根で有意にOsPI1発現が誘導された。また、-Pから根分けした場合の-P根におけるOsPI1発現は2日目まで高いままだったが、3日目以降抑制された。分散分析の結果、-P根から根分けした3日目以降の-P根でのOsPI1発現は大きく抑制されたものの+P根よりも有意に高いままであることが示された。以上の結果から、+Pから根分けした場合と-Pから根分けして3日目以降の-P根におけるOsPI1の発現は、長距離シグナル伝達機構による全身的な負の制御を受けると同時に、局所的な感知機構による正の制御を受けることが示唆された。

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© 2008 日本植物生理学会
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