日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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プロテオーム手法を用いたイネの根分泌タンパク質の網羅的解析
*徳竹 俊志齊藤 徹信濃 卓郎和崎 淳大崎 満
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p. 008

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抄録

植物は自らの置かれた環境に対して受動的に応答しているのみではなく、様々な物質を根圏に分泌することにより積極的に環境調節を行う能力を有している。その分泌物質のひとつにタンパク質があげられ、例えば低リン状態に応答して分泌される酸性ホスファターゼがある。これまでにもいくつかの根分泌タンパク質の分泌機構や活性の解析が行われているものの、根分泌タンパク質を網羅的に解析した例は少ない。そこで本研究ではプロテオーム手法を用い、モデル作物であるイネで栄養ストレスにより相対的な分泌量が変化するタンパク質のプロファイル作成を行った。
イネ(品種:みちこがね)を発芽処理後、コントロール、-P処理、-N処理の3種類の培養液で2週間水耕栽培した。培養液は毎日交換し、最後の1日の培養液を試料溶液として供試した。水耕液を透析チューブ、限外ろ過膜、TCA/acetone沈殿で順次濃縮し、7M Urea/2M Thiourea bufferで再溶解を行った。二次元電気泳動の泳動パターンによって、スポットを確認した。コントロールでも多数のスポットが観察されたことから、イネは構成的に根からタンパク質を分泌していた。また、-N, -P処理により分泌タンパク質の種類と量が変化することが示された。二次元電気泳動後のゲルから主要なスポット、処理間で差の認められたスポットを切り出し、MALDI-TOF-MSを用いたPMF法によりそれらの同定を進めている。

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© 2006 日本植物生理学会
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