日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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高等植物におけるカルジオリピンの生合成と機能
*片山 健太桜井 勇和田 元
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p. 124

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抄録

カルジオリピン(CL)は、主にミトコンドリア内膜に局在するリン脂質である。多くの生化学的、細胞生物学的解析から、CLがミトコンドリアの様々な生理機能と関わっていることが示唆されている。近年、ヒトにおいて、CLの再構成に関わる遺伝子がX染色体連鎖の劣性遺伝病であるBarth症候群の原因遺伝子であることが明らかにされた。しかし、真核多細胞生物において、CL合成酵素の遺伝子は未同定であり、CLのみ欠損した生物を使った解析は進んでいない。そこで私達は、シロイヌナズナにおいてCL合成酵素の遺伝子を同定し、その破壊株を解析することで、高等植物におけるCLの生理機能を解析している。
モチーフ解析とゲノム比較の結果、CL合成酵素遺伝子は広く真核生物のゲノムに各々1つずつ保存されていると推定された。そこで、シロイヌナズナにおいてCL合成酵素遺伝子と推定されるAtCLSを、CL合成活性の欠損した大腸菌で発現させ、AtCLSが真核生物型のカルジオリピン合成酵素であることを証明した。また、GFPを用いた解析からAtCLSはミトコンドリアに局在することを予測した。さらに、AtCLSが破壊された植物体を用いた解析から、cls/clsが胚性致死であることを示した。これは高等植物におけるCLの重要性を示すと考えられる。

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© 2005 日本植物生理学会
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