2014 年 3 巻 1 号 p. 1-15
本研究は,在日留学生のコミュニケーションメディア使用(日本のケータイによる電話・メール・インターネット,及びPCによるメール・インターネット)に着目し,それらと異文化適応状況の関係を明らかにすることを目的とした。関東地域の国立大学に在籍する留学生518名を対象に質問紙調査を実施した。397名の有効回答を分析した結果,留学生のコミュニケーションメディア使用,特にケータイ使用が異文化適応状況に正の影響を及ぼしており,PC使用よりも大きな役割が見られた。また,比較的年長の国費男性留学生らの異文化適応状況がよく,日本語学習歴は異文化適応状況に負の影響を及ぼしたが,デモグラフィック属性も日本語学習歴もコミュニケーションメディア使用においては効果が見られなかった。本研究の成果は,ケータイの機能が進歩した結果,留学生のコミュニケーションメディア使用と異文化適応状況の関係が変化してきていることを示したものであり,今後ますます増加することが予想される留学生の異文化適応状況を検討する上で,有用な知見となる。