化石
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紀伊半島西部の黒瀬川帯周辺の鳥巣式石灰岩から産するジュラ紀新世刺胞および海綿動物化石とその地質学的意義
柏木 健司山際 延夫八尾 昭江崎 洋一酒折 有美子庄司 康弘
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2002 年 72 巻 p. 5-16

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抄録

1)紀伊半島西部, 和歌山県広川町の黒瀬川帯に分布する, 池之上層中部層に含まれる鳥巣式石灰岩から, 刺胞および海綿動物化石を報告した.刺胞および海綿動物化石の指示する年代はジュラ紀新世である.2)池之上層中部層の大部分は, 炭酸塩マウンド周辺に堆積した陸源砕屑岩が卓越する部分に相当する.炭酸塩マウンドそのものは1箇所でのみ認められる.散点的かつ小規模に含まれる鳥巣式石灰岩は, 岩酸塩マウンドから重力流により運搬され, 陸源砕屑岩中にブロックとして定置した.3)Kimmeridgianの頃, 陸側から古生代後期の緑色岩-石灰岩の巨大オリストリスが海溝陸側斜面上に多量に供給された.厚層のオリストストロームの堆積は, 海溝陸側斜面の浅海化を促進させた.4)Tithonian〜Berriacianにかけて, 海山列の付加に伴って海溝陸側斜面が急激に上昇し, 広範な浅海域が形成されるとともに, その浅海域に池之上層中部層や由良層などの鳥巣層群相当層が堆積した.

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© 2002 日本古生物学会
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