日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2004年 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G6-11
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G6:岩石・鉱物・鉱床学一般
伊豆半島西岸、宇久須-安良里地域の、石英閃緑斑岩と鉱化作用
*金 容義太刀沢 中坂本 泉
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抄録

伊豆半島は、伊豆-小笠原弧に属し新第三紀のグリンタフ火成活動の著しい地域である。中新世下部、湯ヶ島層群のプロピライトに伴って、清越・土肥鉱山など、Auの金属鉱床の発達も知られている。含金石英脈や粘土変質帯は、石英閃緑斑岩などの貫入による構造規制も検討されている(杉山、1972;資源エネルギー庁、1991)。とくに西伊豆や西海岸一帯は、駿河トラフをひかえたプレート境界でもある。圧縮応力のテクトニクスの場としての検討(アイダン・金;2002)もしてきた。伊豆半島の宇久須には、珪石鉱床が標高600mから700mの高所で、1930年代より採掘されてきた。熱水鉱床による母岩の変質としての明礬石化作用は、珪石の下部にひろく観察され、累帯構造が報告されている(岩生、1962)。1.20∼2.22Ma(資源エネルギー庁、1991)である。珪石鉱床のなかの涼石鉱体において、黄鉄鉱・硫砒鉄鉱などの晶出する鉱化作用を認めた(古川・緑川;2000)。また、宇久須の海岸地域に、プロピライト変質帯に石英・方解石脈が発達するのを確認した(遠藤・川原;2001)。海域に(水深20mまで)脈の延長を求めると、著しく変質しCu・Pb・Znを含む花崗斑岩の分布を確認した(松本・長谷川・松本;2002)。安良里の海岸で、湯ヶ島層群に貫入する石英閃緑斑岩と、伴う石英・方解石脈を確認した(森田・上林・渡辺;2003)。一部であるがAgを伴う鉱化作用も確認した(太刀沢、2003)。 海域での調査は、ダイビングによるものである。水深20mより深い部分では、連こんを伴う砂に覆われて追跡できない。しかし地磁気異常値を示す海域であり(大塚;1991、岡田ほか、1986)、ブーゲ重力異常による伊東?宇久須構造線(資源エネルギー庁、1991)に位置している。水深の深い海域や、地下への鉱化作用も検討される。宇久須や安良里の海岸で観察される石英閃緑斑岩や伴う鉱化作用は、圧縮応力のテクトニクスの場に形成する斑岩銅鉱床(Sillitoe,1973)のような検討も必要である。

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© 2004 日本鉱物科学会
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