鳥海火山は過去約60万年間、山体の成長と崩壊を繰り返してきた。最新の山体崩壊は紀元前466年に発生し、東鳥海カルデラが形成された。その後はカルデラ内で溶岩流出主体の活動が続いている。また、鳥海山は西暦869年の貞観地震の2年後に噴火(貞観噴火)しており、東北地方太平洋沖地震後、噴火が危ぶまれる火山の一つである。そこで、本研究では、貞観地震の前後における噴出率やマグマの特徴に変化がみられるかどうかを火山地質学・岩石学的に検討した。その結果、貞観噴火を境にして、噴出率が低下したこと、また苦鉄質マグマの組成が変化したことなどが判明した。