日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: R6-07
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R6:深成岩・火山岩及びサブダクションファクトリー
北上山地の前期白亜紀アダカイト質花崗岩類のSr-Nd-Pb-Hf同位体岩石学
*土谷 信高加々島 慎一平原 由香高橋 俊郎仙田 量子常 青宮崎 隆ボグダン ステファノフ原口 悟木村 純一
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抄録

東北地方の花崗岩類のSr-Nd-Pb-Hf同位体組成は,大陸地殻物質に枯渇した端成分とそれに肥沃な端成分の混合によるものと考えることができる.苦鉄質単成分としては,沈み込んだ海洋地殻および枯渇したウェッジマントルと考えて矛盾はない.一方珪長質単成分については,沈み込んだ堆積物ではHf-Nd同位体比のトレンドを説明できない.そのトレンドを説明するためには,古い大陸地殻起源の砕屑性ジルコンに富むHf同位体比初生値の低い堆積物を考える必要がある.北部北上帯の花崗岩類と南部北上帯の花崗岩類とでSr同位体比に違いが認められ,これは南部北上帯の花崗岩類の苦鉄質単成分の方が変質海洋地殻の割合が高いことで説明される.これは,北上山地の前期白亜紀花崗岩類が海嶺沈み込みに伴う若い海洋地殻の沈み込みによって形成され,沈み込む海洋地殻の年齢がしだいに古くなったというモデルとも調和的である.

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