この総説では口腔乾燥を呈する唾液腺疾患について2つの点について焦点を当てる. ひとつは頭頚部腫瘍に対する放射線治療後に起こる口腔乾燥の病態と治療についてである. 放射線治療後に唾液腺障害や粘膜炎の障害の程度は, 照射野と照射量に依存することは知られている. さらに, 口腔咽頭の防御システムのバランスも照射後に変化する. この変化は安定した免疫機構の維持をも変化させてしまう. 2つ目に述べる点は, 新たに確立されたミクリッツ病の概念についてである. 最近, ミクリッツ病では血清IgG4の上昇と唾液腺組織中に著明なIgG4陽性形質細胞浸潤が特徴的であることがわかってきた. ミクリッツ病はシェーグレン症候群と異なった疾患であり, IgG4の関連する全身性疾患 (IgG4-related plasmacytic disease) である可能性がある.