伝統産業は長年の我々の先人達が作り上げてきた知の結晶である。製品よりもそのものづくりの過程に多くの知恵が塗り重ねられている。伝統産業工学は総合工学であり,材料から始まり,成形,構造,その物性,さらにその機能を研究していくものである。それらを踏まえて感性,人に愛される製品に結び付くことになる。ものづくりの暗黙知を形式知化することが伝統産業工学の目的である。この手法は,介護や看護,さらに技能が卓越した産業界に十分に応用可能である。得られた成果を教育などに還元,展開していくのが伝統みらい学である。伝統の匠たちの技能から端を発した学問が,大きく羽ばたいていこうとしている。