日本応用動物昆虫学会誌
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シラホシカメムシの卵巣発達と日長・温度
野田 博明石井 卓爾
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1981 年 25 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

シラホシカメムシの生殖巣の発達と日長・温度との関係について調査し,野外での生活史について推察した。25°C下では14時間以上の日長で卵巣が発達し,13時間以下の日長で生育すると卵巣未発達となり休眠に入ると考えられた。休眠雌の卵巣は13時間以上の日長,15∼20°C以上の温度で発達した。産卵を開始した雌は,短日ではその後の産卵にあまり影響をうけなかったが,低温により産卵停止,卵の再吸収が認められた。産卵を停止した雌は高温長日により,再び産卵をすることも判明した。野外においても,産卵経験をもつ個体が越冬を完了することが認められ,翌春にも産卵すると思われる。
交尾は一般に卵巣未発達雌ではみられず,卵巣が発達する条件下におかれた時多くみられた。交尾には温度・日長などの外的要因によってもたらされた雌の生理的変化が必要と思われる。

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