日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
ワタアブラムシの加害によるメロン葉のカロース形成とそのアブラムシ抵抗性要因としての可能性
篠田 徹郎
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 37 巻 3 号 p. 145-152

詳細
抄録

ワタアブラムシの吸汁によって起こる,アブラムシ抵抗性および感受性メロン品種の葉内のカロース形成を,アニリンブルー染色,蛍光顕微鏡観察法によって解析した。10頭のワタアブラムシを6時間あるいは24時間放飼した場合,抵抗性メロン品種‘PMAR No.5’の葉脈中には,感受性の4品種に比べて多数のカロースの形成部位が観察された。個々にアブラムシの吸汁行動とカロース形成を検討した結果,抵抗性品種では吸汁20分以内にワタアブラムシが自発的に口針を引き抜く行動がしばしば観察されたが,そのような行動は感受性品種では観察されなかった。また葉脈内に形成された口針鞘の長さやその到達組織には明瞭な品種間差が認められなかったが,抵抗性品種ではかなり多量のカロースが口針鞘の周辺に高率で形成されていたのに対し,感受性品種ではカロースの形成はごく少ないか全く認められなかった。以上の結果から,カロース形成はメロン品種のワタアブラムシ抵抗性に重要な役割を持つことが示唆された。

著者関連情報
© 日本応用動物昆虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top