高分子論文集
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電子吸引性基を有するスチレン誘導体のリビングアニオン重合
石曽根 隆平尾 明中浜 精一
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1997 年 54 巻 12 号 p. 829-842

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抄録

本論文では電子吸引性基を有するスチレン誘導体のアニオンリビング重合による鎖構造の規制された反応性ポリマーの合成について報告する. スチレン骨格に導入した電子吸引性基は, N, N-ジアルキルアミド基, オキサゾリン環, エステル基, N-アルキルイミノ基, (トリメチルシリル) エチニル基, N, N-ジアルキルスルホンアミド基, シアノ基である. これらのモノマーのアニオン重合はリビング的に進行し, 設計どおりの分子量と狭い分子量分布をもつポリマーを定量的に与えた. 成長鎖末端アニオンの反応性を生かして, さまざまなモノマー類との構造の明確なブロック共重合体の合成にも成功した. また, ヒ記モノマー類のアニオン重合性は, 電子吸引性基によってビニル基上の電子密度が低められることにより, 無置換のスチレンよりも大きく高められ, 逆に同様の置換基効果によって, 生成したリビングポリマーの成長鎖末端アニオンは求核性が低下していることが確かめられた.

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