2010 年 67 巻 5 号 p. 280-287
本報では,規則構造を有するポリシルセスキオキサンの新しい合成法として,近年筆者らが展開してきた,アミノ基含有オルガノトリアルコキシシラン(R″-NH(CH2)3Si(OR′)3 : R″=H or NH2(CH2)2)の酸触媒によるゾル-ゲル反応について紹介する.得られた材料はシロキサン結合からなるラダー構造(あるいはラダーに近い構造)を形成し,さらにヘキサゴナル積層構造を有する水溶性のポリシルセスキオキサンであることがわかった.このような分子構造および高次構造の制御は,モノマーのアミノ基と触媒の酸からなる塩(イオン対)の働きによりもたらされたと推察される.また,キラル成分の導入によりポリシルセスキオキサンのコンホメーションが制御されることも見いだされた.