日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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マウス継代によるチスト型弱毒トキソプラズマ株の毒力増強試験
清水 亀平次紀藤 捷治白幡 敏一
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1967 年 29 巻 2 号 p. 71-78

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抄録

花木らが無症状感染豚から分離したS-273株とBcvcrlcy株のマウス脳内チストを出発材料として,コートンの筋肉内注射と同時に,4[1間隔でマウス腹腔内注射による盲継代を行なった.その結果,前者では8代目から,後者では初代から,マウスをたおす毒力を獲得し,継代の進行とともに,増夕直型虫体の増数も顕著どなった.その後コートン投与を中止しても,マウスの斃死口数に影響なく,ほぼ4~6口間で例外なくこれをたおずが,マウス腹水中の虫体数,組織培養による虫体増数は,RH株に几べてはるかに不良であった.マウス継代150代以上に及ぶ今口においてもこの性状はほとんど変らない.上記の混力増強試験は,出発材料であるチス1・のマウス感染後の口令を変えて,S-273株については4回,13cvcrlcy株については2回実施したが,強毒化がみられたのは,双方ただ1回に過ぎなかった.以-ヒの成績からみで,チスト型弱1}f株からRH型強}}デ株への移行が起こり得ることは,明らかであるが,これに関与する因子は,はなはだ複雑のようである.

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